ここでは接客する際の最低限のマナーなどを勉強しましょう。
コミュニケーションを取る時
お客様によっては「構ってほしい」時間帯や性格を持っていることがあります。その時は優しく撫でたり、「可愛い(カッコイイ)ですねぇ」「おひげが立派ですねぇ」などお客様のとって快い言葉を添えましょう。お客様がこちら(の顔)を見ている時は③で勉強した「目を細める行為」も行いましょう。
撫でるときには注意が必要です。撫で方によっては噛まれます。愛情表現で噛む猫もいますが、ここでは「噛まれるという事は不快な気持ちになっている」という方を優先して考えます。
撫でる場所・撫でている時間(長さ)・撫でる手の使い方は猫それぞれによって好き嫌いがありますので、当ホテルでは一般的な方法を使います。一般的な方法の為、嫌いな猫もいるかもしれませんからお客様とコミュニケーションを取る際は注意が必要です。遊びに来ているわけではありませんので、自分主体・自分の感情を優先するのではなく、あくまでも接客としてのコミュニケーションだという事を忘れないでください。
手の使い方
お客様が求めていて撫でるときは、手の甲側で撫でてください。もっと詳しく言えば手の甲側の指4本(人差し指・中指・薬指・小指)です。
猫は自分より大きな存在に対して基本的に警戒心を持っています。手のひらを向ける行為は「捕まえられてしまう」行為と「噛まれてしまう」行為と感じて警戒してしまう事があるからです。
ソフトボールをわしづかみしている形を作って、あなたのご家族猫に向けてみてください。そしてそのわしづかみの形の手の指で揉む様な動作をしながら近付けると、あまり良い対応を取られる事があります。その形と動きは「威嚇行動」を想像してしまう猫も多いのです。
撫でる時間・場所
お客様から撫でる事を求められたときに撫でる時間(長さ)は約5~10秒くらいにしてください。あまり撫でる時間が長いと感じたら「もうしなくていいにゃ!」と噛まれる事があるからです。それは不快な事として捉えるのでそのくらいの時間でやめてください。
撫でる場所は頭部だと、頭の上ではなく顎の下が1番目です。その次にマズル(鼻と口の盛り上がっている全体の部分を指します)の側面(おひげがある部分)です。それ以外の所はリスニングで聞きますが、撫でる人によっても好き嫌いがあるかもしれませんので、基本的に頭部のその部分だけにしてください。お客様が「敵意が無い」とゴロンッと寝転び、お腹を見せる事がありますが絶対にお腹を触らないでください。
お客様との位置関係
高い所にいる猫ほど偉いというのが猫界です。ですので当ホテルの作りもニャンシェルジュの目線と同じくらいの高さから上にしています。
お客様が地面の高さにいる状態、あなたの目線より下にいる状態でコミュニケーションを取る場合はかがんだり座ったりして極力目線を同じ高さにしてください。
専門家それぞれの役目
ニャンシェルジュは猫専用ホテル接客のプロです。猫に関して正しい知識を身に付け、的確な観察とより多くの推測を生み出す力を持つ大変素晴らしいお仕事です。
しかし、(免許・資格があれば別ですが)獣医師ではありませんし、どうぶつ看護師でもありません。我々ニャンシェルジュは正しい知識を基にアドバイスしたり推測したりするのは良いですが、獣医学を調べたりしてアドバイスや判断をしてはいけません。ニャンシェルジュは獣医学を知らない素人です。インターネットで調べた事が全て正しいとは限りません。猫も個体差がありケースも多いのでどれが正しいのかは獣医経験を多く持つ獣医師や動物看護師しか分かりません。獣医学においての観察と推測は我々ニャンシェルジュのそれとはまったく違うと思っておいてください。
余計なことはしない
ニャンシェルジュはネコホテルで能力を発揮する役職です。あなたご自身がこれまでの経験で得た猫に関する知識はネコホテル内で正しいかどうか分かりません。例えば、「うちの子が大好きなおやつがあるからお客様に食べてもらおう」「これまでの猫はこれをすると喜んでいいたからやってみよう」などです。
ニャンシェルジュはコミュニケーションを取る事が大事な業務ではありません。「いかにお客様のストレスを無くして(減らして)ご宿泊して頂けるか」これが最優先の業務です。逆にストレスを与えてしまうという可能性のある事はしないのがプロです。
ですので、お客様のご家族が用意したご飯だけしか出しませんし、お客様のご家族が望むことしか行いません。
何か創意工夫のアイディアがある時はオーナーにお話しください。猫に対して全力で何でも猫様の為になる事は真剣に考えていますので気兼ねなく話しかけてください。